近年、欧米諸国ではがん対策が進み、早期発見と早期治療により、死亡率が減少しています。
しかし、日本では口腔がんの罹患率と死亡率が年々増加し、深刻な課題となっています。
口腔は咀嚼や嚥下、会話など、日常生活に欠かせない重要な器官であり、その健康は豊かな生活を享受するために極めて重要です。
口腔癌の種類
口腔がんには舌がん、歯肉がん、口腔底がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんなどが含まれており、とりわけ舌がんが最も多く見られます。
口腔がんの発生頻度はがん全体の1~3%程度であり、他のがんと異なり患部を直接視認できるため早期発見が比較的容易です。
しかし、その知識が社会に浸透しておらず、進行するまで放置され、そして死亡者が増加しているのが、さきに述べた日本の医療現場の現状と云えます。
口腔癌の症状
口腔がんの初期症状には口腔内の痛み、しこり、腫れ、ただれ、出血、歯のぐらつき、口臭などがあります。
痛みが少ない初期症状でも、舌や歯肉の異常には十分な注意が必要です。
予防策としては、たばこやお酒の摂取を控え、バランスの良い食生活を心がけ、歯磨きやうがいを習慣化して口の中を清潔に保ち、入れ歯や歯のトラブルがあれば都度、適切な治療を受けることが重要です。
口腔がんの5年生存率は60~80%とされ、早期発見による簡単な治療で90%以上の生存率も報告されています。進行した口腔がんでは手術による影響が大きく食事や会話の障害を引き起こすことがあります。そうしたことから早期での発見が重要になります。
口腔癌の予防
具体的な予防策としては、定期的な歯科医師・歯科衛生士による治療やクリーニングが挙げられます。
また、口腔がんのセルフチェックも月に1回は鏡の前で行うことが勧められています。
がん治療の現場では、手術・放射線療法・化学療法の組み合わせが一般的であり、患者さんはさまざまな不快な症状と戦いながら治療に臨む必要があります。
また、歯科衛生士はがん治療のサポートを行い、さらに専門的な口腔ケアや摂食・嚥下リハビリテーションなどといった、口腔がん以外のお口のトラブルを未然に防ぐ役割を果たし、患者さんの精神面のサポートも行っています。
口腔がんの予防には、適切な歯のかぶせや入れ歯、口腔内の清潔な維持が不可欠であり、定期的な歯科検診が勧められます。