近年、多くの歯科医院では、ボツリヌス製剤であるボトックスの持つリラックス効果を活かして、歯ぎしりや食いしばりや顎関節症などに対する治療を提供しています。
また、ボトックスは医療の領域で、痙縮や筋肉の痙攣や多汗症やわきがなどの治療にも応用されています。
歯科医院でのボトックス利用
歯科医院での歯ぎしりや食いしばりの治療に際しては、ボトックスを頬の骨からエラの角部分に注射します。
これにより、疲労感の軽減や噛む力の減少が約1週間で実感できます。
ボトックスは他の治療法に比べて簡便であり、スプリント(マウスピース)療法よりも効果的とされています。
スプリントでは、歯ぎしりそのものは軽減されないため、ボトックスのように筋肉の活動に直接働きかけません。
ボットクスの利点
ボトックス治療の利点は、歯ぎしりや食いしばりの改善のみならず、
- エラの張りの軽減(小顔効果)
- 顎のシワやほうれい線の改善
- 歯周病進行の軽減
- 肩こりや頭痛の軽減
- ガミースマイルの改善
などが挙げられます。
ボトックスの注意点
とはいえ、ボトックス治療にはいくつかの注意点があります。
施術後の当日中は、長時間の入浴や激しい運動、過度な飲酒、注射部位の強い摩擦や冷却は避ける必要があります。
また、偶発的な内出血、腫れ、顎のだるさ、違和感が発生する可能性があります。
ボトックス治療を受けるには?
ボトックス治療を受けるためには、いくつかの条件があり、
- 全身性の筋肉疾患や神経筋伝達機構の障害を伴う疾患
- 妊娠中や授乳中の方、妊娠を計画している方
には適していません。
ボトックス治療のプロセスは、初診で適応であるかどうかを確認し、歯ぎしりや食いしばりの診断を行います。
そして、治療が適当であると判断された場合は、初診日からボトックス注射を受けることができます。
治療の効果は個人差がありますが、通常は4〜6ヶ月間程度持続します。
また、効果の持続時間を延ばすためには継続的な治療が有効ではありますが、3か月以内での連続治療は避けるべきです。
ボトックス治療の効果を最も多く得るためには、並行する咬筋マッサージやTCH(日中の噛み癖)の行動変容療法などが重要であると云えます。