管理栄養士の養成施設の変遷
我が国における栄養士の養成は大正期にはじまり、そして戦後からは国家試験が課せられる国家資格となり、さらに戦後期の高度経済成長期には、栄養士の上位資格が必要となり、管理栄養士の資格が設けられ、多くの新制大学にて、その養成学部・学科が設置されました。
主に首都圏中心部にある所謂「老舗女子大学」の多くには、管理栄養士養成学科がありますが、それらが設置された背景には、こうした社会の流れがあります。
他方の、これまで当コラムで扱いました歯科衛生士もまた、管理栄養士と同様、戦前期にその職業が西洋より紹介されて、戦後に国家資格となり、そしてまた同じく高度経済成長期に、その養成施設が多く設置されました。
「老舗女子大学」に設置された管理栄養士の養成学部・学科の殆どは、家政学系に分類されましたが、その後になると次第に、新設の地域での医療・福祉系専門職の養成を担っている公立大学などに設置されるようになり、珍しいものとしては、国立大学法人である徳島大学での管理栄養士養成学科は、医学部に医科栄養学科として管理栄養士養成学科が置かれています。
我が国に栄養士・管理栄養士の養成学部・学科が設置された当初は、伝統的な良妻賢母志向型の家政学を中心とした女子大学に多く置かれていましたが、時代の経過により家政学系から医療・福祉系学部・学科へと置かれるようになったと云えます。
以前、当コラムにて扱った歯科衛生士の養成施設の変遷と比較してみますと、なかなか興味深いと云えます。
ダブルライセンスのメリット
そして、このような変遷過程のなかにおいて管理栄養士と歯科衛生士のダブルライセンスは、食と栄養、そして口腔の健康に関しての専門知識を組み合わせることにより、多くのメリットが生まれると考えられます。
これにより、栄養と口腔の健康に対しての理解が深まり、患者さんに対する、より総合的なケアが可能となります。具体的に、管理栄養士としては、患者さんの健康状態に応じた食事アドバイスを行い、特定の疾患による食事制限や栄養補助についても的確な指導が可能になります。
同時に、歯科衛生士としては、口腔内の健康管理に際しても、栄養面での配慮がとても重要であり、歯科治療後の食事指導や栄養との関連性についての知見から、患者の口腔健康状態を改善することができるのです。
このダブルライセンスによって、多様な職場での活躍が期待できます。
病院などの医療機関や歯科医療機関、さらには医療機関のみならず保育園、学校、福祉施設、企業の社員食堂などの幅広い場所において管理栄養士と歯科衛生の専門的な知識を活かし、地域社会の健康づくりに寄与できると考えます。
双方の免許を取得するには時間と努力が必要ですが、その分、自らの市場価値が高まって、専門職としての自己成長につながることでしょう。
今後の展望
将来のキャリアに幅広い可能性とチャンスをもたらすと思われるこれらの組み合わせによって、あなたの専門的な成長と健康へのサポートがより一層進化することだと思います。
現在そしてこれからの社会にとって管理栄養士と歯科衛生士はますます重要な存在となるでしょう。