これまで数回にわたり、ヨーロッパや日本での入れ歯のことについて詳しくお話させていただきましたが、入れ歯や金歯といった所謂、人工の「補綴装置」を用いた治療が多いのが歯科医療の一つの特徴だと云えるでしょう。
歯科医療の三つの資格
歯科医療には、歯科医師、歯科技工士そして歯科衛生士という主だった三つの資格職があります。
歯科医師
皆さんご存じであると思いますが、歯科医療の要(かなめ)ともいえる職種であり、歯科医師を中心として、歯科医療全般は行われているといえます。
歯科技工士
入れ歯などの「補綴装置」を作製する専門家です。私たちが普段目にする殆どの入れ歯は、歯科医師と歯科技工士との連携協力によって作られたものです。歯科技工士は私たちが普段通う歯科医院の中で見かける機会は少なく、その多くは医院内の診療スペースから離れた場所の技工室や 「補綴装置」を専門に作る工場とも云える歯科技工所などで勤務しています。こばやし歯科クリニックにはラボがありますのでそちらで作成しています。
歯科衛生士
医科における看護師の役割を歯科医療で担っている職種です。
少子高齢化が着実に進む昨今の日本では、この資格を養成する専門学校や大学学科が新たに設置されています。
現在、歯科衛生士の人手不足問題が挙げられておりますが、
「国家資格であり一生続けられる」という利点から持続性のある職種でもあります。手に職をつけたい方にはとても魅力的な職種ではないでしょうか。
歯科衛生士について
さて、歯科医療には、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士という三つの資格職を紹介させていただきましたが
「歯科衛生士」について詳しくお話していきたいと思います。
歯科衛生士の歴史
歯科衛生士の歴史について少し触れていきたいと思います。
明治時代以降の急激な西洋化のなかで、歯科医療もまた大幅に西洋化をしました。
この流れのなかに歯科衛生士もあり、アメリカ合衆国の歯科衛生士養成制度が日本にも浸透してきました。(1915(大正4)年)
この段階では、あくまでも「もたらされた」だけであり歯科衛生士という資格の設置とまではいきませんでした。
その後、歯科衛生士が法的に資格として定められたのは、
30年以上経った戦後の1948(昭和23)年のこと、日本に歯科衛生士が誕生しました。
アメリカ合衆国を主とする連合軍総司令部(GHQ)の指示により、予防歯科と口腔衛生の改善を目的とした歯科衛生士法が制定されました。
翌1949(昭和24)年には、厚生省(当時)の委託により、いくつかの歯科部門が設置された保健所に歯科衛生士学校が設置されましたが、そこで養成される歯科衛生士の数が予想よりもかなり少なかったことから、この保健所への委託制度はすぐに廃止されてしまいました。
歯科衛生士の学校
それに代わって、いくつかの歯科大学・大学歯学部に歯科衛生士学校が設置されました。
当時の歯科衛生士学校の修行年限は1~2年でしたが、
継続的な歯科医療の進化発展により学ぶことが多くなっため、
1983(昭和58)年には歯科衛生士学校での修行年限は「最低でも2年」と改められるようになりました。
1989年(平成元)年には歯科衛生士法がさらに改定されて、歯科衛生士免許の発行が各都道府県知事から厚生労働大臣へと移管されることになりました。
上記のように、歯科衛生士養成そして就業事情は、日本の状態を反映する一要素であると考えております。
読者の皆様に歯科医療の職種に少しでもご興味を持って頂ければ幸いです。