今回は「咬合性外傷」についてお話したいと思います。
歯が揺れる原因は歯周病と思われている方は多いと思います。
もちろん、歯周病が原因である場合が一番多いです。
しかし、歯の噛み合わせが悪いことでも歯が揺れることがあります。
これを「咬合性外傷」と言います。
咬合性外傷とは
咬合性外傷とは歯の噛み合わせが原因で生じる歯周組織の病変のことです。
原因には次のように2種類があります。
歯周病に罹っていない歯におこるもの。
歯ぎしりや噛み合わせの高い被せ物を入れたりした場合、特定の歯に過剰な力が加わることになります。
そうなると歯の周りの組織がそれを無理に受け止めようとして、歯と歯槽骨の間にある歯根膜という組織が広がり、歯がわずかに揺れるようになります。
また、噛み合わせの時、痛みが出ることがあります。
歯周炎が進行した歯におこるもの。
歯周炎が原因で歯を支えている歯槽骨が少なくなると、歯周組織が健康な時と比較して普通の噛み合わせの力でもきちんと受け止めることができなくなります。よって噛んだ時に歯が大きく動いたり、噛んだ時に痛みが出たりします。
咬合性外傷の対処法
いずれの咬合性外傷の場合もその原因を突き止め、対応する必要があります。
過度の食いしばりや歯ぎしりも原因の一つです。
噛み合わせ時に干渉があり、そこに咬む力が集中すると、集中した部分の骨の吸収が進んでしまいます。
さらに進行すると歯が割れてしまったり、場合によっては抜歯せざるを得ないケースになることのあります。
虫歯でも歯周病でもないのに抜歯になってしまうのです。
咬合性外傷の治療法は、噛み合わせを診査し噛み合わせの調整をまずは行います。歯周病の治療も行います。
炎症があり炎症が治まっても歯の動揺が収まらない場合は、冠などを用いて隣りの歯と固定することもあります。
また、歯ぎしりに対しては就寝中にマウスピースを装着することで咬合性外傷を防止します。
さらには、ボツリヌス菌製剤を噛む筋肉に注射することで、筋肉を弛緩させる方法もあります。
歯槽骨が溶けている場合は、治療しても完治しない場合もあります。
咬合性外傷のセルフチェック
ご自身で咬合性外傷を確認する方法をご紹介します。
前歯の唇面、奥歯の頬面に人差し指の腹を当てカチカチと噛みます。指の腹にそこだけ他の歯より振動を感じたらその歯は咬合性外傷かもしれません。
「歯が揺れてきた」
「起きると歯全体がギシギシした感じがして痛い」
といった自覚症状がありましたら、ご遠慮なくご相談ください。