「BRONJ(ブロンジェイ)」という言葉は、馴染みのない言葉だと思います。
BRONJ(ブロンジェイ)=「ビスフォネート製剤関連顎骨壊死(がっこつえし)」といいます。
骨粗しょう症のお薬を服用していますか?
ビスフォスフォネート(BP)製剤は骨粗鬆症の治療の第一選択薬です。また、がん患者(がんの骨病変で骨量が減少している)に対しても有効な治療薬です。
本日はBRONJについて少しお話させていただきます。
BRONJ(ブロンジェイ)とは
近年、BP製剤を投与されている骨粗鬆症患者やがん患者が歯科治療において、抜歯などの侵襲的治療を受けた後に、顎骨壊死が発生しBP製剤との関連性を示唆する報告が多いとされています。
わが国においてもBRONJの発生例が増加しています。
BRONJは発生機序がまだ不明であり予防法や対処法も確立されていないために医療者間や患者間で混乱が生じているのが現状です。
BRONJ(ブロンジェイ)の診断
【診断基準】
以下の3項目の診断基準を満たした場合、「BRONJ」と診断されます。
(1)現在あるいは過去にBP製剤による治療歴がある。
(2)顎骨への放射線の照射歴がない。
(3)口腔・顎・顔面領域に骨露出や骨壊死が8週間以上持続している。
※骨露出が見られない場合や、骨露出が8週間以下の場合でも臨床経過や臨床症状が該当する場合もBRONJと診断することがあります。
BP製剤を服用されている方の歯科治療方針は以下の図のような流れにしたがいます。
BRONJの発生リスク要因(BP製剤の服用が前提)は、顎骨に対して侵襲がある行為(抜歯など)です。
また、全身疾患(糖尿病など)や喫煙なども要因です。
治療指針は以下になります。
- 骨壊死の進行を抑える。
- 疼痛や知覚異常の緩和や感染制御により、患者のQOLを維持する。
- 患者教育および経過観察を行い、口腔管理を徹底する。
高齢化が進み、わが国でもBP製剤を服用される方が増えてくると思います。
BP製剤を服用予定や服用中の方は歯科治療を受ける際は必ず歯科医師など医療スタッフにご相談ください。
こばやし歯科クリニックには口腔外科医がおりますので、いつでもご相談ください。
(終わり)