東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター勤務の柴原先生の口腔外科外来が始まります。
※10/8(土)より毎月一回(第一土曜日)⇒8月より毎月一回(第二土曜日)に変更になりました。
それに先駆け、今回は親知らずの抜歯についてお話させていただきます。
親知らずとは?
親知らずの痛みで苦しんだ経験はございませんか?
「親知らずが半分生えてきて歯ぐきが腫れて痛い」
「レントゲンで埋伏している親知らずが生えてこれないのに生えてこようと骨の中でうずいて痛い」
といったご経験がある方は多いと思います。我慢できないくらい痛いですよね。
親知らずは綺麗に4本(上下2本づつ)生えていたらいいのですが、ほとんどの場合、綺麗には生えてこず様々なトラブルを引き起こします。
抜いておいた方がいい理由は以下のような点があります。
(特に下顎の親知らずについて)
- ・不完全に生えている場合、食べ物が停滞しやすく歯磨きがしにくくなる。
- ・歯周病や12歳臼歯(第二大臼歯)が虫歯になりやすくなる。
- ・親知らずがきれいに生えるためのスペースがないと、親知らずが12歳臼歯を前方へ押してしまい歯並びが悪くなってしまう。
- ・親知らずが生えてくる際、歯茎がおおいかぶさってしまうことがある。
- ・歯茎にプラークが溜まってしまい炎症を起こし膿が出ることがあり、この膿は口臭の原因になります。
- ・親知らずが噛み合わせに影響を与えることで周囲の筋肉(首や肩)に緊張を与えてしまい頭痛を招くことがある。
- また、頭痛以外には目まいや肩こり、吐き気をもよおす場合も。
以上のような点から、不完全に萌出(ほうしゅつ)してきそうな親知らずは抜歯をお勧めします。
親知らずの抜歯について
親知らずの抜歯の手順は以下になります。
口腔外科を掲げている個人クリニックでも施術は可能。個人クリニックでは難しい症例(全身麻酔下での抜歯など)は大学病院や総合病院の口腔外科が紹介されます。
1,検査
- ①骨内の血管や神経の位置を確認するために、レントゲンを撮ります。
- ②表面麻酔&局所麻酔を注射(電動麻酔器を使用する場合もあります)
- ③メスで歯肉を切開し、親知らずを視覚的に見えるようにします。
2,施術(抜歯)
歯と骨の間には歯根膜というクッションのようなものがあります。
この歯根膜から、専用の器具を用いて親知らずを引き離します(脱臼)。麻酔が効いているため痛みは感じません。
骨の奥に埋まっている場合は、周囲の骨を削り、歯を割って(歯冠部と歯根部に分けます)から抜歯します。
- ①消毒して縫合
- ②親知らずを抜いた後は、穴が早く塞がるように血餅(かさぶた)の形成を促す※穴に止血用のスポンジを入れる場合もあります。
- ③血餅が取れると傷が治りにくい(ドライソケットといって激痛を感じます)ため、当日は強くうがいをしないようにしてください。
- ④ガーゼで圧迫止血をします。これにより、痛みや腫れを最小限にします。
15~30分ほどガーゼを強く噛んでいただきます。血液をサラサラにするお薬を服用している場合は、長めにガーゼを噛むようにしていただきます。
3,抜歯後のケア
- ①翌日は消毒をしに来院いただきます。
- ②翌日に出血や感染がないか、腫れの具合いを確認し消毒をします。
- ③1週間後に抜糸をします。
抜歯から1週間ほどで傷口が塞がってくるため、糸をとります。
※骨は3~6か月程度で回復します(個人差あり)。
まとめ
以上が親知らずの抜歯についてでした。
手術時間は約40~60分。費用は保険3割負担として約6000~8000円です。
親知らずが気になる際は、ご遠慮なく当クリニックにご相談くださいね。