前回は睡眠時無呼吸症候群の病態についてお話させていただきました。
今回は「睡眠時無呼吸症候群の具体的な治療」についてお話させていただきます。
睡眠時無呼吸症候群の治療の詳細
装置を使った睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に応じて治療法が異なります。
軽症~中等症の場合には、「マウスピース(スリープスプリントともいいます)」が用いられます。
マウスピースにより睡眠中に下あごを4~7mm前に出して、舌根を引き上げ気道を広げます。マウスピースは保険適用のものと自費診療のものがあります。
中等症~重症の場合は、「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」が行われます。
CPAP療法は睡眠中に鼻に装着したマスクから適切な圧力をかけた空気を送り込み、確実に気道を広げる治療法です。
しかしながら、装置が気になって眠れない患者さんもいます。
その場合には、マウスピースによる治療などに変更します。
AHI数値による診断
CPAP療法は高い治療効果(AHI=低呼吸無呼吸指数が約90%改善されます。マウスピースでは約半分ほど改善されます。AHIの数値は以下をご参照ください)がありますが、気道の塞がりを根本から治すものではありません。
外来通院での継続的な治療は必要です。
また、CPAP療法では鼻から空気を送り込むため、「鼻炎」、「副鼻腔炎」などがあると、十分な効果が得られません。
この場合は、耳鼻咽喉科で鼻の治療をすることになります。
<AHI数値>
無呼吸・低呼吸指数(AHI:睡眠1時間当たりの無呼吸と低呼吸の和) | |
正常 | 5未満 |
軽症 | 5~15 |
中等症 | 15~30 |
重症 | 30以上 |
・CPAP (AHI≧20で適用)
・スリープスプリント ※上下一体型(AHI<20で適用)
以上が装置を使った治療法です。
生活習慣の見直しによる治療
治療には生活習慣を見直すことも大切です。
①減量
睡眠時無呼吸症候群で最も多い原因は肥満です。
肥満を解消するためには減量が一番効果的です。
②禁煙
喫煙は喉に炎症をおこし睡眠中の無呼吸が生じやすくなります。
③就寝前の飲酒を避ける
就寝前に飲酒をすると、喉の筋肉を緩め、気道の閉塞を引き起こしやすくなります。
まとめ
他の治療としては喉を広げる手術(手術の可否は条件があります)もあります。
2回にわたりましたが、睡眠時無呼吸症候群についてのお話でした。
いびきが気になる、夜中に無呼吸で起きてしまうなど気になる症状がある方は歯科医院や耳鼻咽喉科にご相談ください。