KOBAYASHI DENTAL CLINIC

COLUMN

  • 歯の治療について

口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)について

以前、口腔カンジダ症という口腔内にできる白色病変のお話をしました。

今回は、別の白色病変の「口腔扁平苔癬」についてお話したいと思います。

口腔扁平苔癬とは

「口腔扁平苔癬」は診療では比較的目にする機会が多い口腔粘膜疾患(角化異常を伴う難治性の慢性炎症性疾患)ですが、実は、原因や発症のメカニズムがまだよくわかっていないのです。

「金属アレルギー」がその原因の一つではないかと考えられていますが、その原因解明には至っていません。

口腔扁平苔癬は、特に頬粘膜(口腔扁平苔癬全体の80%以上が頬粘膜)に両側性または片側性にレース状の白色病変を呈したり、紅斑、萎縮、びらん、潰瘍などの紅色病変を呈します。

また、まれに水疱を形成することもあります。

40歳以降の女性に多く発症する傾向がありますが原因はまだ解明されていません。

がん化率は統計学的には1%ほどです。

しかしながら、口腔扁平苔癬はWHOにおいても癌化する可能性がある病変の一つに分類されていますので、歯科医院にて定期的な経過観察は重要です。

症状としましては、以下のようなものがあります。

  • ・自覚症状なし
  • ・開口時の頬粘膜の突っ張った感じや違和感
  • ・刺激物(熱い物や辛い物)や歯磨き粉がしみて痛い
  • ・食事中に頬粘膜がすれて痛い

口腔扁平苔癬の検査には細菌検査、金属アレルギー検査、血液検査、歯周病検査などがあります。

口腔癌との鑑別が必要なこともあり、その場合には組織を採取し病理検査をすることもあります。

口腔扁平苔癬は原因が不明であるため、対症療法が中心になります。

ステロイド剤や抗炎症薬の軟膏・含嗽剤を使用することが一般的。ですが、ステロイド剤の長期使用には注意が必要です。

ステロイド剤には免疫抑制作用があり口腔カンジダを併発させてしまう可能性があるからです。

また、歯周病や虫歯、口腔カンジダ症などがあると口腔扁平苔癬を悪化させてしまう可能性がある為、口腔内の衛生環境を良好に保つことも大切です。

口腔扁平苔癬は原因解明がまだされておらず原因療法がないため、難治性です。

上手にコントロールしながら長く付き合っていく疾患といってもいいでしょう。

(腸内細菌叢の改善により治るという説もあります)

口腔内に白色の病変を見つけた際には、さまざまな疾患が考えられますので、ご遠慮なく歯科医院にご相談ください。

(終わり)

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