今回は白色病変の一つで良性腫瘍である「白板症」という疾患についてお話をしたいと思います。
白板症とは
白板症は口腔粘膜にみられる白色病変です。
主に舌や頬粘膜、歯肉にみられます。以前、コラムにて紹介したカンジダ症と違い、こすっても剥離はしません。
白板症は臨床では比較的によく見られます。※40歳以上の男性で多く見られます(発生頻度は約2.5%と言われています)
白板症は良性の腫瘍ですが舌にできたものは悪性化する可能性が高く3.0~15%はがん化すると言われています。
びらんをともなうこともあり、接触痛や飲食物が染みることがあります。
白板症は粘膜の上皮が肥厚した状態(細胞数が増えて腫大した状態)。肥厚した上皮の下の毛細血管が透けて見えなくなり、結果的に白く見えるという状態です。
白板症の原因
白板症の原因は以下のようなことが考えられます。
- ・放置した虫歯、不適合な義歯や歯の修復物などの鋭縁部による慢性的な粘膜への刺激。
- ・喫煙やアルコールの刺激
- ・ビタミンA・B不足
治療法はビタミンA,Bを投与といった補充療法を行ったりします。
喫煙者の場合は禁煙をすることにより治癒することがあります。
しこりや潰瘍がある場合は初期のがんが疑われるため組織片を採取し病理検査をする必要があります。また、白い部分が肥厚しているもの、隆起したもの、びらんがある場合も悪性化する可能性が高いのでその場合は切除します。
上記のような症状がない場合は、白板症は良性腫瘍ですので経過患観察でいいのですが、長期間に渡って悪性化する場合もありますので、定期的な診察が必要です。
紅板症とは
また、白色ではなく「紅板症」という赤色の病変もあります。
紅板症は舌・歯肉・その他の口腔粘膜に生じます。鮮紅色でビロード状、表面は平滑です。
病変と健全な組織の境界は明瞭なものが多いです。初期の症状としては刺激痛が代表的です。一般的に50歳代以上の高齢者が全体の80%を占めています。
白板症のがん化率3.0~15%に比べ、紅板症は約50%が悪性化するといわれています。
病変をしっかりと取り除いても治療後の定期的な経過観察が必要。
このように口腔内には白色や赤色といった色がある病変が様々あります。
口腔内でこのような色の物を見つけた場合には、いつでも先生にご相談ください。
こばやし歯科クリニックでは、2022年10月8日から口腔外科外来がはじまります。