今回はラバーダム防湿についてお話したいと思います。
歯科治療時に口へゴムマスクみたいなものをつけられたご経験はございませんか?
呼気から出る水分は一日にでる不感蒸泄量(皮膚、粘膜、呼気から出る水分量)の25~40%もあります。窓ガラスに息を吹きかけると、曇る現象は誰しもが経験したことがあると思います。
これは呼気に含まれる水分によるものなのです。実はこの水分が歯科治療の大敵でもあるのです。
呼気に含まれる水分を治療の邪魔にしないようにした方法を「ラバーダム防湿法」と言います。
特に、根の治療の治療精度を向上させるのには必要な処置になります。
ラバーダム防湿法の詳細について
ラバーダム防湿法は考案されてから約150年の歴史があります。
ゴムのシートを患歯に装着して治療することで、唾液と歯との接触を無くし、根管への唾液由来の細菌の感染を防ぎます。さらに、誤飲防止にも役立ちます。
ラバーダム防湿をしたからといって、完全に無菌状態になると言うわけではありませんが、現状ではラバーダム防湿を超える防湿法は明らかになっていません。
ラバーダム防湿を施す歯科治療には以下があります。
歯の根(神経)の治療
根管に唾液や唾液に含まれる細菌の侵入を防ぐことは非常に大切です。
歯の詰め物の治療
虫歯治療の際、唾液が入ってくると詰め物が上手く接着することが出来ません。そうすると、詰め物が外れやすくなり、接着の弱い部分の隙間から細菌が歯の中に入ってしまいます。
これにより、虫歯が再発しやすくなります。
例えば、お風呂で水蒸気がついた状態の窓にシールが着かないのと同じようなことです。
ラバーダム防湿をすることによって、より確実な詰め物の接着が可能になります。
歯の詰め物を安全に除去する
ラバーダム防湿をすると頬や唇、舌がゴムシートで排除されるため、奥歯のような見えづらいところの視野が広がります。それにより、安全に且つ確実に詰め物を除去することが可能です。(取り残しの防止)。
歯肉、頬、舌を傷つけない
ラバーダム防湿をすることにより、頬や唇、舌をゴムシートが排除してくれるので、歯科治療時に使用する機材により頬や唇、舌を傷つけないようにできます。
また、根管治療の際は、根管を消毒する薬剤が根管から漏れでることによる歯の周囲組織の傷害を防止できます。
顕微鏡(マイクロスコープ)による歯科治療
ラバーダム防湿をすることで、より鮮明に患部を拡大して見れるので、治療がスムーズに進み治療成績の向上につながります。
以上の様に、ラバーダム防湿法は治療精度を向上させるには必要な処置です。
こばやし歯科クリニックではラテックスアレルギー以外の患者様に『ラバーダム防湿』をしようしています!