今回は「床矯正(しょうきょうせい)」についてお話させていただきます。
「床矯正」という言葉はあまりなじみのない言葉だと思います。
矯正治療といえば「ワイヤー矯正」や最近では「マウスピース型の矯正」が挙げられます。
床矯正という治療法は小児矯正においては非常に重要な役割を担っています。
床矯正の仕組み
一次矯正
床矯正の装置には、入れ歯のように「床」の部分(プラスティックのピンク色の部分)が存在しています。この床に、ネジやワイヤーなどが埋め込まれています。
歯列にマルチブラケットとワイヤーを設置するワイヤー矯正とは、見た目も治療目的も大きく異なります。
床矯正は成長期段階にあり上顎の歯列幅が狭い状態の6~8歳小児の時期に治療をするのがベストだと言えるでしょう。
これを「一次矯正」と言います。
骨の成長に合わせて、しっかりと歯列の幅を広げていきます(正中口蓋縫線という部分を人為的に広げていきます)。
歯列の幅を広げることで歯がきれいに並ぶためのスペースを確保します。
歯の並ぶスペースが不足してしまうと、6歳以降に生えてくる永久歯の歯並びが悪くなってしまいます。
また、「一次矯正」をすることで「二次矯正」が楽になります。
二次矯正
「二次矯正」とは永久歯がはえそろってから行い、歯並びやかみ合わせを整える矯正治療のことで一次矯正の仕上げとしても行う矯正治療のことです。
装置には、
「緩徐拡大装置(週に2回ネジを90度づつ回転させる)」
「急速拡大装置(毎日2回ネジを90度づつ回転させる)」
といったものがあります。
床矯正の目的(メリット/デメリット)
床矯正は歯列の幅を一気に広げることが目的であり、次のような治療効果はありません。
- ・歯並びの微調整
- ・歯を移動させること
- ・過剰な歯列の不正の改善
このような状態の症例は、ワイヤー矯正・マウスピース型の矯正により治療致します。
メリット
- ・取り外しができるので清掃が容易
- ・食事の際に取り外せる
- ・痛みが少ない
- ・ワイヤー矯正とマウスピース型矯正と比較して費用が安い
デメリット
- ・装着時間(1日約8時間着用)を自分で管理しなければならない
- ・装置という異物が口に入っているので発音がしにくい
- ・違和感や異物感がある
以上、お話してきたことが「床矯正」という治療の特徴です。
ただし、すべてのケースに適応できるわけではありません。お子様の口を見て歯列の幅が狭いといったことにお気づきの際はお気軽にご相談ください。(※6~8歳が適齢期です。)