今回は咀嚼能力検査についてお話させていただきます。
咀嚼能力検査とは?
咀嚼の能力を調べるには咀嚼能力検査、咬合圧検査などがありますが、今回はグルコセンサー検査(グルコース分析装置を用います)という咀嚼能力検査についてお話させていただきます。以前は「篩分法」といって、ピーナッツや生米などの粉砕性のある試料を咀嚼させたのち、試料の粉砕度を測定して、咀嚼能力を評価する方法を用いていました。
咀嚼した試料を口腔内から回収してふるいを用いて篩い分ける方法です。
現在は咀嚼能力を定量的に評価できる方法を用いています。
歯を失ったり、虫歯や歯周病によって噛む力が低下すると、噛み応えのある肉や魚などのタンパク源の摂取をしたがらない傾向があり、食べやすいご飯、麺類、パンなどの炭水化物の摂取が多くなります。
タンパク質の摂取量が少なくなると、日中の活動量や筋力が減り(サルコペニア)、全身の機能が衰えて(フレイル)しまいます。また、炭水化物の摂取量が多くなると、血糖値が上昇し糖尿病発症、重症化の要因にもなります。
咀嚼能力検査は、噛む力を測定し口の機能が低下してしまう「オーラルフレイル(口腔機能低下症)」という状態を調べる検査として、健康保険に導入されました。
咀嚼能力検査の検査方法
咀嚼能力検査では咀嚼能力を簡単に調べられます。
- ブドウ糖(グルコース)が含まれた特殊なグミを20秒間噛んでいただき、10mlの水と同時に吐き出していただきます。
- グミと水を濾過用メッシュ内に吐き出させ,メッシュを通過した溶液中のグルコース溶出量を咀嚼能力検査の測定機器にて溶出グルコース濃度を測定します。
- グルコース濃度が100 mg/dL未満の場合を咀嚼機能低下と判断します。
咀嚼能力低下と判断した場合は以下のような対応をします。
虫歯、歯周病がある場合は治療。歯がない場合は入れ歯の作製
虫歯や歯周病の治療をおこなうことにより、噛む力を回復させていきます。
また、歯が抜けたままになっている状態や合わない入れ歯を使用しているときには、入れ歯を作製したり入れ歯の修理や新たに再作製します。
そうすることで噛む力を回復させていきます。
栄養相談・栄養指導
噛む力が低下すると、全身の機能が衰えていきます。また、栄養のバランスも悪くなります。管理栄養士による栄養相談、栄養指導を受けることにより、食生活のなかにタンパク質の多い食事を取り入れたり、介護食や栄養補助食品を活用するなどをして、食事内容を改善していきます。そうすることで、サルコべニア、フレイルの予防になります。
以上が噛む力の低下した際の弊害と検査についてでした。
噛む力の衰えを感じたり口腔状態が気になる場合は、ご遠慮なく先生にご相談ください。