口腔機能低下症は、文字通り口腔機能(咀嚼、嚥下、発音、唾液分泌など)が低下する病気であり、その結果として、食事や会話など日常生活に支障をきたすだけでなく、それを起点として、全身の健康にも悪影響をおよぼす可能性があります。
この病気の原因は加齢によるものだけではなく、虫歯でかけている歯、歯周病で動揺する歯、および不適合な入れ歯の放置や柔らかいもものしか食べない、噛む回数が少ない、会話をあまりしないなど、口の機能を使わないことにより発症します。
口腔機能低下症の具体的な症状としては、
- ① 硬いものが食べにくくなった。
- ②汁物を飲むときに時々むせるようになった。
- ③ 口の中が乾くようになった。
- ④ 口臭があるようになった。
- ⑤ 薬を飲み込みにくくなった。
- ⑥ 滑舌が悪くなった。
- ⑦ 食べこぼしをするようになった。
- ⑧ 食事をするのに時間がかかるようになった。
- ⑨ 食後に口の中に食べ物が残るようになった。などが挙げられます。
したがって、上記のような症状が見られたら歯科を受診し、通常の歯科治療を行ってもらいます。
そして低下した機能のリハビリテーションを指導してもらいます。それによって低下した機能は回復あるいは低下を阻止することができます。
口腔機能低下症の対応には時間を要します。それには栄養状態や食形態、生活習慣の改善なども含まれます。
これについては管理栄養士が最適の職種です。
適切な食形態や栄養状態についてのアドバイスや指導を行い、食事摂取や栄養状態の改善、向上に努めます。
このように口腔機能低下症の管理には、歯科衛生士や管理栄養士との多職種連携による総合的なアプローチが必要です。
次回のコラムでは、その中でも重要な連携職種である管理栄養士による口腔機能低下症へのアプローチについて述べたいと思います。