はじめに
ご高齢の方々にとって、健康維持のための口腔ケアは重要です。なかでも、舌ブラシの使用は、口臭や味覚障害、誤嚥性肺炎などのリスクを軽減して、全身の健康にも良い影響を与えることが期待できます。
舌苔と健康への影響
舌ブラシによって除去する舌苔は、食べカスや細菌などが絡み合って舌の上に形成される白い膜状の物質です。
この舌苔が厚く溜まると、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
口臭:
舌苔には、揮発性硫黄化合物と呼ばれる口臭の原因物質が数多く含まれています。
これは、卵が腐ったような臭いや、生ゴミのような臭いを発生させます。
口臭は、周囲の人とのコミュニケーションを避けたり、自信を失ったりする原因にもなります。
味覚障害:
舌苔が味蕾を覆い、味覚を感じる能力が低下します。
味覚障害は、食事の楽しみを奪い、食欲不振や栄養不足につながる可能性があります。
食欲不振:
味覚障害にくわえて、舌苔による口臭も食欲不振の原因となります。
食欲不振は、栄養不足や体重減少を招いて全身の健康に悪影響を及ぼします。
むし歯・歯周病:
舌苔は、むし歯や歯周病の原因となる細菌の住処となります。
これらの細菌は、歯垢を形成し、歯茎に炎症を引き起こします。
むし歯や歯周病は、歯を失うだけでなく、糖尿病や心臓病などのリスクを高めることがわかっています。
誤嚥性肺炎:
舌苔が剥がれて気道に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
誤嚥性肺炎は、高齢者にとって死に至ることもある重篤な病気です。
消化機能低下:
舌苔が厚く溜まると、食べ物をスムーズに飲み込むことができなくなり、消化機能が低下します。
消化機能低下は、栄養吸収不良や便秘などの問題を引き起こす可能性があります。
舌ブラシによる効果
舌ブラシを使用することで、これら問題を引き起こす舌苔を除去することができます。
- ■口臭予防:舌苔に含まれる揮発性硫黄化合物を減少させ、口臭を予防します。
- ■味覚改善:味蕾を覆う舌苔を除去することで、味覚を感じる能力が向上します。
- ■食欲増進:味覚が改善することで、食事を楽しむことができ、食欲が増進します。
- ■むし歯・歯周病予防:むし歯や歯周病の原因となる細菌の住処を減少させ、予防効果があります。
- ■誤嚥性肺炎予防:誤嚥性肺炎の原因となる舌苔の量を減らすことで、リスクを軽減します。
- ■消化機能向上:食べ物をスムーズに飲み込むことができるようにし、消化機能を向上させます。
ご高齢の方々への注意点
ご高齢の方々が舌ブラシを使用する際は、以下の点に注意が必要です。
柔らかいブラシを選ぶ: 舌は繊細な器官なので、硬すぎるブラシは舌を傷つけてしまう可能性があります。
優しくブラッシングする: 強くこすりすぎると、舌を傷つけてしまいます。
朝食後に使用する: 一晩の間に溜まった舌苔を除去することができます。
舌ブラシを清潔に保つ: 使用後はよく洗い、水気を拭き取り、細菌の繁殖を防ぎます。
介護者・ご家族の方へのサポート
介護者の方やご家族の方々は、以下のサポートをすることで、ご高齢の方々が舌ブラシを正しく使用できるよう促すことができます。
舌ブラシの選び方や使い方を説明する
適切なブラシ選びと使用方法を理解してもらうことが重要です。
一緒に舌ブラシを使用する
一緒に行うことで、抵抗感を減らし、習慣化しやすくなります。
定期的に口腔ケアの状況を確認する:
口腔ケアが適切に行われているか定期的に確認しましょう。