近年、歯科医療と管理栄養の連携が注目されています。
その理由は、口腔の健康と全身の健康が密接に関係していることが明らかになったからです。
具体的には、栄養状態が悪いと虫歯や歯周病などの口腔疾患のリスクが高まるだけでなく、口腔疾患により、糖尿病や心臓病などの全身疾患の発症リスクを高めることが分かってきたということになります。
そのため、歯科医療と管理栄養の連携は、口腔内の健康と全身の健康を同時に保つための効果的な方法です。
歯科医師と管理栄養士の連携方法
歯科医療スタッフが管理栄養士と協力して、患者さんの口腔状態と栄養状態を評価し、個々の患者さんに合わせた食事指導や栄養指導を行うことにより、口腔疾患の予防や治療、全身疾患の予防や管理に貢献することができます。
その具体的な取り組みとしては、
- ◆歯科医院での栄養指導
- ◆医療機関との連携
- ◆訪問歯科診療と栄養指導
- ◆オンラインによる栄養指導などが挙げられます。
また、これらの取り組みは実際に、患者さんの口腔内の健康と全身の健康の向上に効果を上げています。
さらに、口腔内の歯を健康に保つためには、ブラッシングなどで歯を清潔に保つだけでなく、栄養面からもサポートしていくことが必要です。
歯と健康
歯は骨に似た組織なので、カルシウムやビタミンDといった骨を作る栄養素が必要ですし、歯周病に対しては、歯肉を作るコラーゲンの合成に必要なビタミンCなどが歯に良い栄養素と言われます。
くわえて近年、腸内細菌と口腔細菌が互いに影響し合っていることが研究で明らかになっています。
腸内細菌のバランスが悪くなると、歯にも悪い細菌が増えやすくなるということです。そのため食生活に注意し、腸を整えることは、長期的に歯を守ることにもつながるのです。
今後の歯科治療の展望
以上のことから、今後、歯科医療と管理栄養の連携は、ますます発展していくことが期待されます。そのためには、地域や医療機関を超えた連携体制の整備、保険診療での見直し、歯科医師と管理栄養士の人材育成、連携の効果を検証するための研究推進などが重要です。
これらの課題を克服していくことで、歯科医療と管理栄養の連携は、口腔の健康と全身の健康の向上に寄与して、そして、それぞれの分野の協力によって、この連携をさらに発展させていくことが期待されます。